二月ほど前、家なし、金なし、職なしだったシロイ・ケイキが(現在は家だけあり)、断食道場に行く前、実家でイイカンジにパラサイトしていた頃のお話です。
「この間、テニスクラブの飲み会でね」
と母が切り出しました。
「○○ペンションのオーナーが、独身でペンションを経営するのはたいへんなことだ、早く結婚したいと言ってたのよ」
「ふーん」
「そしたら誰かが『シロイさんの娘さんは?』と言って。もちろん冗談なんだけど、向こうは満更でもなさそうだった。というわけで……どう?」
「どうと言われましても」
「ペンションのオーナー夫人になるのも悪くないじゃない。あのオーナーはやり手だから、ペンションも流行っていて経済的には恵まれているし、なによりオーナーはハンサムで優しい方よ。年も33歳だったかな? ちょうどいいくらいよね」
「そんなこと言われても、会ったことのない他人には嫁げません。あっ、だからって会いたいわけでもないから、誤解しないで。大体お母さんのハンサムの基準、アテにしていいかわかんないし〜。こういうとき、ひとは他人を大げさに褒め称えるもんだからね」
「もったいないなあ、ほんとにかっこいいのになあ。メガネかけてて、知的なかんじで」
「ええっ、メガネですって!?」
みたいな反応をした自分が本当に嫌です。
しかもその後、ペンションの名前を母親にきいて、サイトを探してしまう自分を発見する始末。
オーナーの写真がないことに安心していいのか、がっかりしていいのか、それすらよく判らない始末。
いや、なくてよかったんだと思います。今は。本当に、なくてよかった。
昔の私は心底メガネどうでもよかったというか、メガネがないなんて視力が良くて羨ましいわねえくらいだったのに、何故ここ数年メガネとかスーツに好ましき気配を感じているのか不思議。そしてそんな自分が嫌。なんか嫌。すごく嫌。
mixiのメガネ男子コミュに入らない、『メガネ男子』だの『スーツ男子』だのゆー書籍は決して購入しないというのが、現在ワタクシが堅く戒めていることでございます。その先に足を踏み入れてはならぬのじゃ。あー、わざわざそんな戒めを作らなきゃいけない自分を、ナチュラルに殺したい。
いっそメガネ、嫌いになりたいぜ。そして全世界のスーツを焼き捨てたい。私の心を揺るがすなと言いたい。(誰に)
まあ結局、そのメガネハンサムペンションオーナーには、会ってないんですけど。
10人のノルマ達成のために会ってみようかなあ……でも知的ハンサムガイwithメガネなどというものが私の戒めを決壊させてもならぬので、やはり遠慮しよう。決壊すると何がまずいのかも、正直よく判ってないんですけど、とりあえず。