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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

引越し屋はどこに消えた?

引越し屋さんは言いました、
「明朝八時から九時の間にお伺いします」
と。


そして現在。九時二十分。
エアコンの取り付け業者さん(室外機発見後に連絡)からお電話が入りました。
「引越し終了予定はいつ頃ですかねえ?」
「えーとですね。実は今日、八時から九時の間に、引越し屋さんが来る予定だったんですよ」
「はい」
「で、九時ってもう過ぎたじゃないですか」
「そうですねえ」
「まだ来ないんですよ」
「えっ」
「だから私もねー、『引越しはいつ始まり、いつ終わるのだろう』と今現在まさに疑問に思っている次第でして」
「……なるほど。それでは取り付けに伺う前に、またお電話差し上げますね」
「よろしくお願い致します」


みたいな会話を交わしながら、エアコン取り付け業者さんの親切が身に沁みるなあ、などと思うのでした。


このようにして、私は引越し屋さんを待ち続けているのです。ゴドーを待つように。

「カーペットが来るのを待っているのよ」とギニイが言った。「ゴドーを待つように」
「ゴドーは来なかった」
私が指摘すると、彼女はため息をついた。「そこがまさに私の言いたいところなのよ」

ディック・フランシスの『骨折』より、うろ覚えの引用。


こんな風にいらいらとひとを待つときは、それこそディック・フランシスの上質な作品、『利腕』、『度胸』、『標的』あたりを読みながら心楽しく過ごしたいところですが、あいにく本だってすべて荷造りされてしまっているのでした。