「まずは弾いてみないと!」という名言で私の心をぐっと掴んだH先生に対する敬意は、最近、深まるばかりでございまして。
そんなH先生がわたくしに新しい指示をくださったのは、数日前のお話でございます。
「シロイさん、新規に10人、異性の友人を作りましょう」
「じゅ、じゅうにんて!」
私は思わずうめきました。
「同性の友人だって、これから10人は難しいのに!」
「本当の友人である必要はありません」
H先生は重々しい口調で続けました。
「知り合い程度で構わないのです。一緒にごはん食べに行ってもいいかなくらいの人間であれば」
「はあ……それならば若干、難易度は下がっているように思えますが」
「いいですかシロイさん、今あなたは、自分の選択肢が狭まったように感じているのではありませんか? だから結婚相談所に登録だの、尼になるだの言い出している」
「ええまあ、だってもうトシがトシですんで」
「そういう状態の人間というのはね、自分の前に好意を示してくれる人間が現れると、たいへんまずいことになりがちです」
「えっ、そうなの?」
「そうですよ。だってその瞬間シロイさんは、その人間を唯一の選択肢として検討し始めてしまいますからね」
「と、おっしゃいますと?」
「全ての人間には美点と欠点がありますが、だからといってどの人間と付き合っても同じわけではない。相性というものがあります。相手の欠点を許せるかどうかというのは、非常に重要です」
「うん、まあ、そうでしょうね」
「ところが選択肢が一つしかない人間はね、そのへん実に曖昧になってきて、『このひとにはこういう欠点があって、あたしはそれが気になるんだけど、でも誰にだって欠点はあるんだし、このひとにもイイトコはあるしねえ』とか言い出すわけですよ。一個しかない選択肢を蹴るのは難しいから、ついつい『許そう』と思うわけです。世の中には許すべきでない欠点もあるのにね」
「あーっ。それはワカル! そしてそれってすごく危険な気がする!!」
「だからとにかく10人知り合いが出来るまで、決断を待つんです。10人全員が選択肢になることはないでしょうが、とにかくそれでも選択肢を増やしてみること。そうすれば、10人の中には一人くらい、シロイさんにとっていい相手がいるんじゃないかなあ」
「なるほど……」
「『蓼食う虫も好きずき』っていうでしょう。シロイさん、もしかしたら一割の幸運を引き当てるかもしれませんよ」
「先生、私って蓼なんですか? 10人新規の知り合いっていうのはもしかして、私が九割の男性に蹴られるから?」
「シロイさん、自分が蓼じゃないって思うんですか?」
「…………あれ。どうでしょう。蓼かも」
「数撃ちゃ当たると言い換えましょうか? 数をとにかく撃ってみましょう」
「先生、私って下手な鉄砲なんですか?」
「違うんですか?」
「いえ、なんだかもう、認めちゃうことにします。どうせあたしは蓼です。下手な鉄砲です。別にいいよ、愛されキャラとかモテキャラとか無理だしさあ!」
「自覚は大切ですからね。がんばりましょう。蓼であって悪いという理屈もないわけですし」
というわけで、昨日友人から誘われた合コンに行ってみることにしました。
問題は私以外に2人女性を集めなきゃいけないことなんですが……心当たりなくはないけど、なんかあの子は最近彼氏できたとか言ってたしなあ……集まるかなあ。
あ、いいこと思いついた!
誰か関東在住の女性で、シロイと一緒に合コン行きたいひと、いません? 合コン仲間をブログで募ってみるという試み。
先着二名で締め切りますぜ。二名に達しなくとも、6月9日いっぱいで締め切るってことで。だってこんな場所でひとを集めるの、なんか危険な香りだし! 申し込みがあってもなくてもどきどきする。でもあるといいなあ?
男性の申し込みは不可です。お間違えのなきよう。
その後
無事、二名の参加希望者が現れましたので、締め切らせていただきます。意外と素早く枠が埋まりました。嬉しい。