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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

現代社会と親心

サリコさん(仮名)は二児の母です。
ふたりとも女の子です。トモリちゃん(仮名)とコヨリちゃん(仮名)。
で、私はサリコさんが夫のカンタロさん(仮名)と共に命名について話し合っている様子を、微笑ましく眺めさせてもらったりしたのですよ。
んでその時ふと、自分に子どもの命名権があったらどのような名前をつけるかしらこれは考慮に値する問題だわ、と思ったわけです。


私の内部には「理想の名前イメージ」というものがありまして、それは

  • 中性的であり、男名前としても女名前としても通用する
  • 華美ではなく、いぶし銀のイメージ
  • 少し古風で江戸時代の人名としても通りそうだが、十分に現代風でもある
  • 響きが美しい
  • 字の意味も良い
  • 若い頃も似合うが老人になってからもしっくりくる名前


みたいなかんじなのですね。
ちなみに今市子先生の『百鬼夜行抄』という漫画に出てくる名前は私の求める条件をかなり高いレベルで満たした名前が目白押しで、感心させられっぱなしなんですが。
で、私にとっては特に「中性的な名前」というのは、重要なことなんですよ。
武憲とか権三郎みたいな見るからに男っぽい名前は駄目。
美奈とか百合香とか女性らしい名前も敬遠したい。


「なんでさ。なんでそんなに中性的な名前にこだわるのさ。そこは重要じゃないよ」
と友人のマオカ(仮名)が言いました。
「違うよ。何言ってるの、それはすごく大事だよ」
「だってさ、もしも私が息子を産んで、すごく男性的な名前、たとえば『権三郎』と名付けて、その子が実は性同一性障害だったらどうするの?」
「性転換手術をして、普段はたとえば『ゆかり』とかそういう名前で通しても、運転免許証や住民票に記される名前は権三郎のままなんだよ!」
「検問でお巡りさんに止められて免許証出して、見るからに女性なのに権三郎って書いてあったりしたら、その瞬間、お巡りさんは怪訝な顔をするよ。もしかしたら職務質問だってされるかもしれない」
「そんなことになったら権三郎は傷つくよ。可哀想な権三郎」
「だけど私が前もって『律』とか『つかさ』とかそういう男でも女でもあり得る名前をつけておけば、検問も普通に通れるし、嫌な思いをせずに済む」
「私はそこまで見越して中性的な名前がいいと思うの! これは親心なの!! 深い愛のあらわれなの!!!」

私がそのように懸命に現代社会における親心と命名の関係を説きますと、マオカは
「ぼくは嫌だな、そんな親心。間違ってるよ」
と呟きました。


そうなの? 駄目なの? この親心。