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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

遺伝子の鎖

先日の「嵐の解禁」話を書きながら、
「そういえば、こういうヤケにハイテンションでアッパー系な物言いをするひと、身近に一人いたよな。ものすごい身近なひとだったよな。誰だっけ?」
と二秒ほど考えて、すぐに思い出したのですが、父です。シロイ・ネコヒコ(仮名)です。

ネコヒコが以前、私の友人のL(仮名)を評した言葉

「Lさんて綺麗だよなー。あのひとと出会った男の八割は彼女に好意を抱いて貰いたいと切望するだろう。そんで残りの二割のうち、半分はゲイで、半分はよほどの変人だ」
ちなみに父ネコヒコは、Lに会ったことは一度しかなく、そのときも私がLと話しているところをちらりと見かけただけで、遭遇時間は一分にも満たない短いものでした。

友人のミリキ(仮名)がシロイ家に遊びに来て、帰った後、ネコヒコがしみじみと語った言葉

「ミリキさんというのは、ものすごく色っぽいひとだな。『悽愴な色気』という言葉が似合うひとというのは滅多にいないが、彼女はまさにそんなかんじだ。研ぎ澄まされた刃物のような色気ってやつだ」

友人のベコヤマ・サリコさん(仮名)が私宛に送った小包の宛名書きを見たときのネコヒコ

「こ、これはなんという……! 水茎うるわしい達筆とはまさにこのような文字のことだ。たおやかで知的で心やさしい美女がこのような文字をしたためたのだと、悟らざるを得ないではないか。サリコさんが掛け値なしの素晴らしい女性であることは、この文字を見ただけで窺える……だからケイキ、写真あったら見せてくれない?」

その後私が携帯に入っていたサリコさんの写真をネコヒコに見せると

「おお……想像通りの美しいひとだなあ。ただ目鼻立ちが美しいだけの人間では醸し出せない知性と徳の香り立つような容貌だ。ああっ、しかもこの小包、手作りのお菓子が同封されてるっ。優しくて賢くて料理も上手なのか彼女は。『みなさんで召し上がってください』って気配りまで行き届いているのか、どこまでよくできたひとなんだサリコさん素晴らしいぞあなたは」
ちなみにネコヒコは現在にいたるまで一度もサリコさんに会ったことはありません。




みたいなことを一度、友人のLに話したら、彼女はフクザツな表情を浮かべてこちらを見つめました。
「なんていうか……シロイって、お父さんに似ているんだねほんとに。そしてあなたたちの遺伝子はきっと『落ち着きがない』と形容するとふさわしいのね……」
ええっ、私が落ち着きがないのはもっとオトナになれば治ると思っていたのに……一体お前はいくつのつもりだ、とっくの昔に成人したろ、被選挙権すらあるくせに(行使しないけど)というツッコミはもちろんセルフで入りますよ、ええまあ。
けど、それにしても……ネコヒコは還暦越えでまだ『落ち着きがない』ってことは……そうか、私は一生このままか。
クールでストイックなオトナには憧れるんですけどねえ。遠い。