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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

「シロイさんはいいなあ、私なんか……」とかよく言う人は


なぜだか知らないが、世の中にはとにかく他人が羨ましくて羨ましくて仕方のないひとがいて、そういうひとは、他人のちょっとした美点だの恵まれているように思える点だのひとつひとつに過敏に反応して、ひねくれたけなし方をしたり、誉めるとしてもゼッタイに気持ちよく受け取れないような誉め方をした挙句に
「私なんか、シロイさんに比べると」
「シロイさんは悩みなんてないでしょう。いいなあ。私とは違う」
とかゆーこちらとしてはどう返していいか皆目見当のつかないフレーズをほいほい投げてきやがるんですけれども。


ええまあ確かに私はあなたとは違うでしょうよ。
両親も違うし、出身地も違うし、誕生日も違うもの。
あなた以外の人間は、全員あなたじゃないからねー?


でもでもほら、私なんてあなたと違って、今年は職と家と彼氏を一度にうしなって、金もなくて、限りなく路頭に迷う系のひとになって、ほんとNHKスペシャルワーキングプア特集とか、全然他人事の気がしないのよね?
そんで実は今年、死にたいわけじゃないんだけど、あまりにも気が滅入るから
「あー今この目の前のベランダから飛び降りちゃいけない理由ってナニ? 今の状況でそういうことすると洩れなく大怪我していい気分転換になると思うのよ」
と考えてからベランダまで出たんだけど、下の駐車場の車に自分が激突したら壊れちゃうから車の持ち主さんちょうカワイソウ! そんなひどいことをしちゃいけないから、飛び降りは先延ばしにしよう、と思ったことがあったのですよ。(しかも複数回)
あなたがそんな私と違うことはたぶんすんげえラッキーなことなんじゃないの?
なんでそんな私を「いいなあ」とか思えるのか全然ワカラナイ。


いやまあ実はちょっとわかってて、たぶん私が楽しそうに見えるからなんだろうけど、だって私は生まれてきたからには楽しみながら生きたいというささやかな願いで、自分をなるべくそっちの方向にコントロールしているだけなのであって、私のまわりだけ楽しみが土砂降り状態で降り注いでるわけじゃないのよう?


正直に言えば、私は自分を不幸だともカワイソウだとも思ってないし、それはベランダから飛び降りようと思ったときすらそうは思っていなくてね、そういう風に思わないようにしてるんですよ。だって不幸というのは、たいていの場合、自分で選びとるものなんだもの。
自分の選択が積み重なって今の状態を作るのさ。
もちろんそれだけじゃないし、だからなんでもかんでも自己責任とかゆーハナシは私も嫌いだけどね?
でもそれは個人の責任がゼロなことを意味しないっていうか、どんなに恵まれていても「あたしは不幸」と思えば不幸は永遠に続くのじゃないかしら、どうかしら、少なくとも私はそう思う。


でもでも、私がたとえば、あなたにも美点はあるじゃない、私なんかと違う美点がたくさんあるじゃない、恵まれているとこもあるじゃない、とか言ってみてもそういう言葉は決して届かず、私がたまに客観的に見ても不幸ぽい状況になったときだけ、
「かわいそうシロイさん、だいじょうぶ?」
とうすく微笑みながら、でも本人は自分が笑っていることにまったく気づかないまま甘い声で話し掛けてくるんだよね、あなたみたいなひとは。


私が立ち直ると突然不機嫌になったりするしねー?


私がどうなればあなたは満足してくれるのかしら、と真剣に考えたら
「顔に強い酸を浴びて修復不可能な醜い傷跡を負い」
「仕事が首になって」
「性格がひねくれて友人その他、親しい人をぜんぶ失い」
「地を這うような貧乏暮らしをする」
ような状態になればたぶんこの上なく満足して、そんな哀れでかわいそうな私の面倒をやさしく看てくれるんだろうな、という結論に達したから、私はゼッタイに不幸になんてなってやるもんかと決意したぜコンチクショウ。


これからも私の楽しそうな笑い声を聞かせ続けてやるから、それを聞きながら永遠に
「私なんか、シロイさんとは違って、ああシロイさんはいいなあ」
って言い続けやがれ。
私はそれを幸せのBGMだととらえるようにしたっていうか、そうしなければ生きていくのがもう辛い。