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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

『保留』の出来ないワタシタチ

Lは私の高校時代からの友人です。
可愛くて頭と性格の良い女性です。素敵なひとです。私は男になったら、彼女のところに結婚申し込みに行くと思います。結婚できたら毎日彼女のために花を買って帰る夫になりたい。あ、でも花の始末が面倒だから嫌がられるかもしれないね、どうしよう。


さて、そんなLはしばしば「彼氏がいない」とこぼします。
「なんで彼氏いないの? Lなら選り取り見取りで男性を選べるでしょ? 高望みしすぎなんじゃないの?」
「高望みしてない。わたし、モテないの」
「嘘だ」
みたいな会話をよく交わしていたのですが、この間彼女の家に泊めてもらったとき、何故彼女が高望みとは違う理由で縁遠いのか、なんとなく判りました。


「なんかね……口説かれるとしらけるんだよ……」
呟くL。
「だって……あなたに好意のある男性は、あなたを口説くよね、そりゃあ?」
「だからそれが嫌」
「じゃあ、恋愛に発展しないだろ?」
「そうだよ、だから今の私がいる」
「難しいのね、Lさんのお相手は」
「難しいかなあ……でもさあ、ケイキだって、他人のこと言えないでしょう?」
「えっ」
「私は『保留』ができない人間なの。ケイキもそうでしょ、実は」


相手が自分に好意を抱いているらしきことに気付き、でも自分は嫌いじゃないけど好きってほどじゃないのよねえ、という心境のときに、とりあえず断ることも受け入れることもしない状態をLは『保留』と呼んだわけですが。


「……出来ないね、『保留』。即答でイエスと言えないときは、ノーって言いましたよ、今までの人生」
「そうなんだよね。『自分が将来もしかしたら好きになる可能性がなくはないから保留』って、相手の時間を無駄遣いさせてる気がして、罪悪感あるじゃない」
「そう! それに結局、今好きじゃないんだから、切っても寂しくないわけだよね」
「だったら切っちゃうよね、面倒だもの。寂しくない程度のひとなら、結局イラナイと思うし。一人が寂しいとは、私は思わない」
「……自分に好意を抱いている相手と行動するのは、時々楽しくなかったりするしねえ」
「一人で部屋にいるほうが、くつろげたり楽しかったりするのよねえ……」
「コイビトなんていらねえぜー。一人最高!」
「いえーす」
「……で、今に至るわけか」
「うん」
「でも、現実的に考えると、相手と自分の気持ちが同じペースで育つ可能性、低いような? 時間のズレを埋めるための『保留』というのは、現実的な方策だよねえ? 『保留』ゼロは恋愛ゼロを呼び込みそうな気がする」
「そんなことは判ってるの。他人に相談されれば、私は『保留』をすすめるでしょうね」
「そうだね、私もすすめる。……なのになんで自分が『保留』することは嫌なんだ?」
「わからない……それに、『保留』中に口説かれると、『失敗した』と思わない?」
「わかる! 決められないから『保留』して一時停止して頭を休ませているはずだったのに、相手が勝手に動いた時点で、『保留』の意味が消えるもん。だから失敗した、面倒くさいと思うようになって、切っちゃう」
「でも、考えてみれば、『保留』された相手が、状況打破のために口説くのは、ごく当たり前のことなのよねえ? そのままじゃ進展もないわけだし」
「当然の権利だし、正当な行動だね……」
「なのに失敗だからもう全部ナシ、という決断を下してしまうのはどうして?」
「さあ……でも面倒だからさあ……」
「そうよねえ……面倒よねえ……みんなこんな面倒なことに、よく耐えてるよねえ……」
「あのさ」
「うん?」
「さっきから、私たちの会話、あたかも中学生のごとくじゃない? 全然オトナじゃないような?」
「言われてみればそうね! すっごく恥ずかしい。イヤ!」
「オトナになりたい! この恥ずかしさには耐えられない」
「来年の今頃、私たちはオトナでしょうか?」
「いえ。変わってないような気がいたします。生涯中学生?」
「生涯中学生はまずい。変わらなきゃ!」
「どうすればいいの?」


という会話の果てに、来年の5月21日の12時21分を過ぎた時点で、二人とも彼氏とかいないままだったら、「コドモ脱却運動」のために、二人で仲良く結婚相談所に登録することが決定致しました。
なんかその行為が本当にオトナになるための傾向と対策なのかちょっとあやしいんですが、まあいっか。
いいことにします。
そんで、それが上手くいかなかったら、尼になろうかと思いマス。