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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

窓の外には

しばらく前のこと。セキゼキさん(仮名)にスカイプで話しかけられ、こんな話をしました。
「シロイさあ、前に会社の用事で時々、●●線使うとか言ってなかった?」
「言ってた。月一くらいで使ってるよ」
「じゃあ、もしかしたらわかるかな……あのさ、△△駅−■■駅間って、なんか変じゃない?」
「へん? 何が?」
「うーん、なんていうのかな、窓の景色が見えないような気がするんだよ……あ、もちろん、顔を上げて窓の外を見ていれば、普通に景色はそこにあるんだよ? だけど、たとえば本を読んだりしていると、視界の端っこに移っているはずの窓の外の景色がとまっているように感じるっていうか……カーテンじゃないんだけど、なにかそういうもので、窓が覆われているみたいな……」
「よくわからん。そんなの感じたことないし。それは●●線でも、△△駅−■■駅間だけのことなの?」
「おれが感じるのは、とりあえずそれだけかなあ。いつも不思議でさ。そっかあ、シロイは感じないのか。あれは一体、なんなんだろう。
……なんか、窓の外にびっしり張り付いた人が、何百人もいるみたいな感覚なんだよ。そしておれが目を上げると、そのひとたちがぱっといっせいに飛びのいて、景色が見えるようになるみたいな」


その話が気になった私は、その後ネットでちょこちょこ検索。調査結果を先日、セキゼキさんに報告いたしました。
「セキゼキさん、●●線の△△駅−■■駅間で19xx年に、列車事故がおきているらしいよ? 死者100名を越す大惨事ですって」
「……」
「セキゼキさんがこの間言っていた、●●線に乗ると感じる不思議なかんじってのはもしかして、この事故に関係しているのかなあ、とか思ってみたんだけど」
「……」
「ほら、前にセキゼキさん、消えるひとの話もしてたし?」
「…………違うよ」
「えっ」
「違う違う、絶対違う、おれはそんなオカルティックな話、ぜったい認めねえ! 幽霊なんていてたまるか、列車事故で死亡したひとの幽霊が窓にびっしり貼り付いて車内をうかがっているなんて、そんな怖いこと……じゃなくて、非科学的なことがあってたまるかあっ」
「えー。別にいいけどさあ、じゃあセキゼキさんが感じる、その不思議な感覚を、どう説明するの?」
「あれは……あれはたぶん、催眠とか幻覚じゃない? たまたま窓の外の建物の並びがひとにそういう錯覚を起こすようになっているとか?」
「私にはその錯覚、起きないんですけど」
「……こ、個人差があるんだろたぶん。よくわかんないよおれは催眠の専門家じゃないし。とにかくシロイ、、この話はもうやめよう、今すぐやめよう、もう二度としないようにしてお願いだから、お願いします。 そういうオカルト話を好むのって一種の現実逃避だと、おれは思うよ」


そうか、現実逃避しているのは私か。

えー、この話、路線名と区間名を明らかにして事故を特定するのは、いささか不謹慎かと思いましたので、伏字にしてあります。ご了承くださいませ。どうしても知りたい人は、あとでこっそり、なんらかの手段を用いて私にご連絡を。できる限り対処いたします。