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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

モラルハラスメントの分類と対処法とSHOGUN

モラルハラスメントでは加害者のタイプがいくつかに分けられ、タイプに応じた対策をとることがたいへん重要となります。
「ストレス習慣型」、「自己愛性格型」、「無知型(楽観主義型)」、「集団心理型」、「メンタル不全型」、「頑固型」などなど。
さらに「自己愛性格型」は細かく三つに分類されたりしますが、ここですべての分類を並べるのは本題ではないので、飛ばします。興味がある方は各自調べてみてくださいな。
さて今日の本題は「ストレス習慣型」のモラルハラスメントでして、日本の職場で行われているモラルハラスメントの八割以上が、ストレス習慣型ではないかとも言われています。
ストレス習慣型というのは、手っ取り早く言いますと、八つ当たりです。ストレスのたまった上司が、報復される可能性の低い部下に、八つ当たりをして鬱憤を晴らすタイプのモラハラです。


敗残兵から一言 - reponの日記
召還していないのにマッチョマンから応答が届いたので、せっかくだから質問します - reponの日記
私が上記2本のエントリを読んで感じたのは、id:reponさんの職場で行われていたのはまさにこのストレス習慣型モラルハラスメントなのではないかということでした。
過酷な長時間労働で大勢の人がやめていく職場は、まさにストレスフルな職場でしょう。みながいらいらして、けれどたいていのひとはそのいらいらをぶつけられる相手なんていなくてというときに、上司とお局さんだけはうまくターゲットを見つけて、自分たちの鬱憤を晴らしていたのではないでしょうか?
……なんて、素人が勝手に判断して申し訳ないですが、まあとにかく。


さて、ストレス習慣型のモラルハラスメントでは、管理職研修などの経営側の介入がしばしば効果を発揮します。
また、モラハラ加害者の心理的支援によってストレスを軽減することで、事態が解決に向かうこともあります。
(逆に、経営側からの介入の効果が極めて低いといわれている最悪のモラハラは自己愛性格型モラハラ。加害者には罪の意識はなく、ほとんど対処のしようがないといえます)


ストレス習慣型モラハラの加害者は、たいていの場合、自分が加害者であるという自覚が存在します。だからこそ、介入に効果が生まれるのです。
私は、上記の2つめのエントリの

上司は黙っていて、あとでぼそっと僕にだけ聞こえるように

「怒鳴られてお互いスッキリできるならそれでいいだろ」

と言っていましたよ。

という箇所や、

最後まで

「reponが仕事上間違っていて自分が正しい」

という根拠を示すことが出来ませんでしたよ。

という箇所を読んで、おそらく上司とお局さんは「自分たちが完全に潔白なわけではない」ということを自覚していたのだろうなあ、と思いました。
だけどやっちゃったんだね、二人とも、弱い人間だったから。そんな風に思いました。



せっかく投資として新入社員を入れているのに次々とやめていく部署。長時間労働で大勢の人が体や心を壊して欠けていく環境。
この場合、早期に介入して、モラルハラスメントの可能性を調査し、事態の改善をはかるのが、経営側のあるべき姿ではないでしょうか。
まして、現場にはモラルハラスメントを糾弾するreponさんのようなひともいるのですから。
いくらストレスがたまっても、部下に当り散らすのは間違った行為です。許されることではありません。
ですが、彼らがストレスフルな環境に置かれなければ、そもそもそのような事態は発生しなかった可能性が高いのですね。
加害者は上司とお局さんのふたりだけではないのです。そのような環境を放置した小市民ではない経営側も、同様に「敵」なのです。


私はそう考えましたので、経営側であるdankogai氏の発言に、大きな失望を覚えました。

報われるのをただ待ち続けて、待ちぼうけを食らった事を嘆いても、何も起きない。それを街角で叫んでも、せいぜい空き缶の小銭が増えるだけ、はてダで書いてもスターと同情コメントが集まるだけ。

この文章は、経営側ではなく、個々人のサバイブの方法を説いたものとしては、それなりに正しいかもしれないと、私は思います。
実際、モラハラの被害者がいくら現場でがんばっても、「上から介入」することはできないのですから。個人として生き延びるためには、自分で対策をとるしかないというのは、悲しい現実なのかもしれません。


ですが。
そういう末端の兵士が、個々人として生き延びるためのサバイブの方法を得々と説くだけの経営者というのはどうなの、と思うわけです。
将軍が絶望的な戦場に兵士を送り込み続け、現場からの不満に対して
「そんな文句を言う前に、一人でも多く敵兵をやって生き延びろ」
「不満なら脱走兵にでもなれ」
と言うのはあまりにもあんまりだと、私は思います。脱走兵というのは、銃殺されたりするのにさ。
もちろん、dankogai氏はreponさんにとっての将軍ではありません。
ですが、よその無能な将軍と同じ立場にあるものとして、何かもっとほかに言えることはないのでしょうか?


戦国大名織田信長が軍事的な天才として評価されている理由のひとつに、
「弱卒として有名だった尾張兵であれほどまでに勝利したから」
というのがあるそうです。(強くて有名だったのは三河兵)
将軍がなすべきことは、個々の兵隊に「お前らが弱い兵だからしぬんだよ」と言う事ではないでしょう。「おれが兵隊ならこうするからもっと強いぜ。みんなおれのようにしろ」などと語る将軍はおそらく織田信長にはなれません。
すべての兵卒が強靭であるわけはありません。しかしそれを前提にそれでも彼らを切り捨てずに使い切るのが、優秀な将軍であると、私は考えます。
将軍には将軍の、経営者には経営者の、語るべき言葉があるのでは?
一兵卒としての心構え(お前は弱いから死ぬんだぜ)なんて、少なくとも私は要りません。