いっそ薬指を切断してあげればよかったのかしらあ

昨日は、同僚の方たちと飲んだ帰りのことです。
見知らぬサラリーマンが話し掛けて追いすがってきました。
「すみません」
「すみません、今お帰りですか？」
「もう一軒ぼくとどうですか」
平日の夜からナンパって元気ね君、イイトシなのに、と思いながら、無視して歩くこと数十メートル。
なんでずっとついてくるんだあ？　めげろよ。
「迷惑なんですか？　ぼくが迷惑なんですか？　迷惑なんですか、ねえ！」
哀れっぽい声を出してこちらの罪悪感を刺激する作戦か。それはちょっと卑怯じゃないかしらボウヤ？　そっちがその気ならこっちにも考えがあるってものだよ、ふふふ。
私はその場でくるっと振り返り、にこやかに笑いながら言いました。
「やだあ、迷惑なんかじゃないですよう。ただー、ご自分の左手の薬指をごらんになって？　燦然と輝いてるものがございますでしょ？　そんな方にもう一軒お付き合いしたら、嫌がる方がいらっしゃるかと思ってしまったんですの、ごめんなさあい」
「あっ、すみません、コレが悪いんですね。コレを外せばいいですか？」

「あははははは。何を言い出すのかと思えばあ。ソレを外したら奥様がこの世から消えるんですか？　そんなメルヘンな話はございませんよねえ」
「あなたが既婚者であるとわかった時点で私、その気になればあなたのこの先の人生を、そうとう辛くしてやることができるんですよ？」
「あら、お帰りになられます？　それでは奥様によろしくお伝えくださいませ」
はー。
なんかなー。
ほろ酔い上機嫌がいきなり曇ったぜ。
ナンパ自体は否定しないが、結婚指輪した男がそーゆーことするのは奥様も私もある意味馬鹿にしてることになるって気づかないのかね？　気づかないんだろうなあ。