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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

六道輪廻スープに酔いしれろ!

私の節約術として一人暮らし時代に活躍していた「六道輪廻スープ」について書いてみます。


一人暮らしだと自炊って実はあまり安くない、というのはよく言われます。安さだけを追求するなら激安惣菜だの弁当だのを買ってきて食べる方が確かにお金はかかりません。
しかしそういう生活をしていると体をこわしたりしがちですから、医療費がかかって結局高くなる、という考え方もできるわけですよ。
健康的でおいしいものを比較的安く食べ、体を健康に保つというところに自炊の真の価値があるのです。
自炊するなら外食ではとりづらい野菜を食べましょうよ、いう話ですね。


しかし野菜をとれっていわれてもそれが難しいじゃない、肉や魚はただ焼けば食えるけどさ!
とか思う方にお勧めなのがこちらの六道輪廻スープでございます。

一日目

日曜日。目を覚ましたあなたは冷蔵庫の中身をチェックして、余った野菜を集めます。
サラダ作った残りのセロリとか。味噌汁作った残りの大根とか。パスタ作ったとき使いきれなかったブナシメジやエリンギとかね。
玉ねぎ、にんじん、キャベツあたりの安くて日持ちして使い道の多い野菜は、常備しておくとよろしいです。このあたりの野菜もちょっとずつ使いましょう。
ブナシメジを小分けにし、野菜は基本1cm角に切ります。エリンギやセロリは四角になりませんので、適当に小さくしてください。
ベーコンがあるとベストなんですけど、なかったらハムでもソーセージでもいいです。スープの具としてちょうどいいくらいの大きさに切ってください。
いろんな野菜があるから、切るとけっこうな量になるでしょう。
そしたら鍋を出して火にかけてオリーブオイルを熱し、これら具材を投じて、炒めましょう。


ちなみに私としてはここでぜひシャトルシェフの使用をおすすめしたいのです。しかも一人暮らし用としてはちょっと大きいかな、くらいのやつ。節約術って言ってるのに何高い調理器具すすめてんのコイツ、と思われるかもしれませんが、よく言われることですがシャトルシェフはガス代の節約にとてもよいので、イニシャルコストは高くついても、ランニングコストまで考慮に入れれば、かなり優秀なのです。我が家のシャトルシェフは既に使用開始から8年目に突入していながら未だキッチンのエースです。その間にフライパンは何度か代替わりしていることを考えますと、シャトルシェフ購入こそが長い目でみれば節約術であるとも言えます。
また、単身者用の賃貸物件は、しばしばコンロが一口しかなかったりするんですが、シャトルシェフで保温すればコンロが節約できるのもありがたい。


炒めた具材にだいたい油が回ったら、鍋の八分目くらいまで水を入れてください。しばらくすれば鍋の湯が湧きますね。
そしたら、シャトルシェフをコンロから下ろして、保温器に入れたらあとは放っておけばよろしい。
週末には週末の用事がありますよね、掃除するとか洗濯するとか散歩に行くとかゲームするとか図書館行くとか、二度寝したっていいですし、とにかく好きに過ごしてください。
余り野菜を片づけて冷蔵庫が空になったわけですから、スーパーに買い物もいいですね。一週間分の食材を買ってきて冷蔵庫につめると、とても充実した気持ちになれますので。
ただし、冷蔵庫の中に鍋一つ分の隙間は開けておいてください。


あとはまあ、夕食の支度をするときに保温器から鍋を取り出して再び火にかけ、気になるならアクをとって、塩コショウで味を調えて、できあがり。
コンソメすら入っていないとか味だいじょうぶかよ、と思われるかもしれませんが、低温で長時間煮込まれているので、野菜の旨みがしっかり引き出されて、ちゃんと美味しいスープになっています。不安な方はコンソメキューブ入れたっていいですけど。


こちらは「ズッパ・ディ・ヴェルドゥーラ」といいまして、れっきとしたイタリア料理でございます。伊丹十三先生がそうおっしゃっていました。
なので、料理で見栄を張ってみたい方は週明け、
「日曜の夕食はイタリアンにしてみたよ。ひさびさにズッパ・ディ・ヴェルドゥーラを作ったんだ」
などと言ってみるのはいかがでしょう。一個も嘘ついてませんから。
まあとにかく一日目の夜はこのシンプルなズッパ・ディ・ヴェルドゥーラで、野菜の滋味をしみじみと味わいましょう。パルメザンチーズをたっぷり振っていただくのも美味です。
それにしてもシャトルシェフで作ったスープって、野菜の火の通り具合が絶妙なんですよね、特ににんじん。にんじんのアルデンテみたいな、じゅうぶん柔らかいけれどぐずぐずには決してならず、どこか凛とした歯ごたえをうっすらと残す、あのかんじ。これはガスコンロだといくら弱火じっくりをキープしてもなかなか難しいよなー、と私は思っていまして、ここでまたシャトルシェフステマですよ。一銭ももらっていないですけど。


二日目

月曜日。帰ってきたあなたは週初めの疲れで、ごはん作るのが面倒だったりします。
そういうとき、昨日作ったスープがまだあるから汁ものは作らなくていい、という事実は電球のようにあなたの心をあかるく照らすでしょう。
ただあたためなおすのではなく、スープにちょっとカレー粉を入れてみましょう。彩りにパセリなどをふってみるのも吉。
たったこれだけで昨日のスープはカレー風味に生まれ変わり、あなたを別な角度から楽しませてくれます。

三日目

火曜日。思えばこれまでの二日間、あなたが口にしてきたスープはわりあい淡白な味のものでした。
この辺りでちょっとがつんといきましょうか。特売で購入した一缶78円のトマト缶を温めなおした野菜スープに投入して、ミネストローネにするのです。
トマトスープとかトマトソースとか、トマト系の料理には、塩コショウ以外にカレー粉をはらはらと落とすと、味の奥行きがぐっと増します。
というわけで昨日投入されていたカレー粉は、ニューカマーたるトマトの水煮缶と相性が非常によろしいのです。カレー粉とトマト缶のハーモニーを味わいながら、恋人たちをひきあわせたキューピッド役の気持ちになりましょう。
トマト投入のおかげでリコピンも摂取できますから、いろんな意味で
「今日の私はいいことをした……!」
と思えるはずです。


四日目

水曜日。一人暮らしをしてると炊いたごはんというのは何かと余りがち。多めに炊いて余ったら小分け冷凍していたりするかと思うんですが、今日はその冷凍ごはん一人前を電子レンジで解凍しましょう。
ミネストローネをあたためたら一部とりわけ、その中に解凍ごはんを投入して少し煮込み、簡単リゾットのできあがり。お好みで牛乳、チーズ等をくわえてお召し上がりください。
リゾットにすると小さめの冷凍ごはんでもじゅうぶんな量なるのがありがたいです。炭水化物を減らしてダイエットにもお財布にも優しいのでした。
とかいいつつ、ここで生クリームを使ってみると濃厚な味わいが楽しめますが、途端にダイエットからも節約からも離れますのでご注意ください。生クリームというのは本当にいろいろと罪深くて魔性ですね。リゾットをすすりながら「ふぅ〜じこちゅわぁ〜ん」とか呟いてみたくなります。

五日目

木曜日。あと一日がんばればもう週末じゃん、という思いはあなたに調理への意欲を湧きたたせます。
というわけで本日はカレーの日。残ったミネストローネにカレールーをわりいれ、水分その他を適当に調節してください。トマトたっぷりカレー、と表現するとまったく残り物感がなくてグッドです。
カレーが残ったら冷凍したいけど、ジャガイモ入れるとまずくなる、でもジャガイモ食べたいし、と悩んでいるあなたのために、私が一計を案じました。
バター(半量をマーガリンにすると節約気分)を溶かしたフライパンに薄くスライスしたジャガイモを並べて両面を焼き、これをカレーにトッピングして食べるのです。
もともとスープに入っていた具材は小さめで、ごろごろ野菜カレーを食べたいあなたにとっては、物足りないものでした。
焼きスライス野菜トッピング形式が、そんなあなたの不満を解消します。
かぼちゃ、なす、ピーマンなど、お好きな野菜をトッピングしてみましょう。

六日目

金曜日。週末を控えてすっかりご機嫌なあなたは、鼻歌交じりに冷凍ご飯を解凍し、耐熱皿に敷き詰めます。
ごはんの上に残りカレーをのせ、卵なんか割入れてみたあと、ピザ用チーズをたっぷり散らして、オーブンにイン。
焼き上がればもちろんカレードリアです。
繰り返された輪廻転生もひとまずはここで打ち止め、残りスープという名の業は食べつくされましたので、七日目の土曜日は、たっぷりある時間で好きなものを好きなように食べるといいんじゃないでしょうか。

というわけで

野菜スープリメイクなんてよくある話じゃねーか、なに六道輪廻とかご大層な名前つけちゃってんだよバカかオメーは。
とお思いの方。
あなたは正しい。ほんとすみません、私、いろんなものの邪気眼ネームとか考えるのが好きなんです。ごめんなさい。
しかしこういう大仰ネーミング制を採用しますと、野菜スープを大量に作ってえんえんと目先を変え続ける作業も、
「ばかな、コード128? これでは次代の転生サイクルに狂いが生じてしまう……やむをえん。オペレーション・ホワイトアウトを発動する!」
(翻訳「トマト缶128円は高いなー。ミネストローネやめて、ミルクスープにしよっかなー」の意)
などと呟くと楽しいんです。バカでよかったと思う瞬間です。


ちなみに上記のローテーションは、転生パターンのほんの一部でありまして、他にもいろんなパターンが考えられます。

  • ミネストローネの翌日は、ごはんの代わりにスパゲティを投入して野菜スープパスタ。
  • カレーコンソメの翌日、トマト缶の代わりに牛乳を投入してミルクスープに。リゾットやパスタ経由後は、ホワイトシチューのルーを入れてもよし、カレールーでもよし。
  • ミネストローネにカレールーの代わりにハヤシライスのルーを入れる。牛肉が入っていないとハヤシじゃない、とお考えの方は、牛薄切り肉を買ってきて別途ソテーして添えるとよいと思います。
  • ホワイトシチューもグラタンやドリアに転生させることができますね。
  • ミネストローネにひき肉を合わせて炒めて水分を飛ばし、パスタと合わせるとけっこうボロネーゼ風です。

ごはんで遊ぶなと叱られるかもしれませんが、私には「ライオンハートごっこ」と呼んでいる楽しみもありまして、六道輪廻スープ以外のおかずも、並行して転生させてみたりするわけです。
たとえばカレー野菜スープのときのメインおかずを肉じゃがにして、翌日和風カレーに変じた元肉じゃがを転生したミネストローネと一緒に食することで、
「また会えましたね」
「そんなまさか……あなたは!」
「約束したでしょう、生まれ変わってもまた見つけ出すって」
「嬉しい! このまま一緒に溶け合ってしまえたら!」
とかいう会話が自分の胃袋の中で繰り広げられている様子を想像してみるのもいいですよって、……えええ、ちょっとまって何その目つき、ひいてるよね、私に対して今ひいてるよね?

まとめ

だんだん自分でも何を言っているんだかわからなくなってきましたが、とりあえず今回は以下の記事を参考に書かせて頂きました。
一人暮らしでカレーを作るべきではない理由。 - 貧乏人は麦を食え。年収200万円時代を生きる方法-bobcoffeeの麦食指南


いやいや一人暮らしだからこそカレーで節約ってのはある話だよ、と思ったので書いてみたのです。
肉じゃがでもマーボー豆腐でも野菜スープでもポトフでも、最終的に味と水分調節してカレールーぶちこんでしまえば、なんかそれなりに落ち着くところがカレーの懐の深さ、好きな男の腕の中でもそんなカレーの夢を見ちゃうの、ということが書きたかったのでした。
というわけで、元エントリのその後の記事に対してもちょっとだけ反論いたします。


「時間もお金同様に重要」
「大事な時間を必ずしも優先度の高くないもの(代替物がある)を作るために割くのですか」
「ジャガイモと人参を入れた場合、出来上がるまでに火にかけてから30分は掛かります。」
「一皿分を作るのにそれだけの時間を掛けますか?」


というお話がありましたが、確かにまあカレーだけで考えるとそうかもしれないんですが、「六道輪廻スープ」方式のお得な点としましては、時間がかかる煮込み部分を初日に済ませてしまうので、それ以外の日は調理時間が大幅に短縮されてラク、というのがあげられます。
そしてまた、煮込みの間中ガスコンロの横にいるのは無駄とお思いかもしれないのですが、そこでシャトルシェフを使えば、コンロの横にいる時間もぐっと短くなるわけですから、金と時間、双方の面でお得とも言えます。
時間の節約の観点から推奨されている炊飯器カレーですが、それがたいへんによろしきものであることを認めた上で、シャトルシェフ調理は電気代不要でガス代もちょっとだから更にお得でございます、と更に言い募る私はほんとなんなんでしょう、シャトルシェフの血でも引いてるんでしょうか。


まあシャトルシェフは夏場に使うと腐りやすいとか言いますけどね……六道輪廻スープも一日一回は加熱するとはいえ、六日間の使いまわしですから、衛生管理に気を付けるのは絶対の条件ですね。夏場は避けた方がよろしいかも。同時に、私は六道輪廻スープでお腹壊したことはないというのも、シャトルシェフとカレーの名誉のために一応言っておきます。


ここまできたらシャトルシェフ愛ついでに言っておきますけれど、やっすい豚ブロックや、やっすい牛筋を買ってきて、寝る前にシャトルシェフにぶちこんでお湯わかして保温器に突っ込んで、朝起きたらもう一回わかして保温器につっこんで、とやれば帰宅する頃にはどちらもトロトロ柔らか、実にいい具合に煮えててシャトルシェフ先生マジ幸せの伝道師、と実感できます。
私はこの煮込みはどちらもあえて平日の作成をおすすめしたいのです。
ああ仕事だるいわだるいわ帰りたいわ、と思った時には、キッチンの片隅でけなげに働くシャトルシェフ先生のお姿を思い浮かべてみるのです。
ああ私がこうしている間にも鍋の中でちょっとずつやわらかになっていくのね、と思い描く肉の塊ほど、働く善男善女の足取りをはずませるものはないと、私そのように信じております。


私の節約術「セツヤクエスト