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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

ある種のドッペルゲンガーみたいな その1

これから昔むかしのお話をします。
まだブログツールなんてものを使っている人は見当たらなくて、テキストサイトが全盛だった時代の話。
あの時代の空気がまったくわからないひとには一部ぴんとこない箇所があるかもしれないですが、そのあたり基本的にNO説明ですすめさせていただきます。わかるひとだけわかってください。


その頃、私もちっぽけな個人サイトを持っていました。メモ帳でHTMLぽちぽち打って作ったやつ。一日数十人の訪問者で大喜び、普段は数人くるかこないかの、さびれた場所。
それでもちょっとでもアクセス数が増えてほしくて、その道を模索したくて、時々自分のサイト名で検索かけて、
「どこかのサイトがうちを好意的に紹介してくれているところを発見したいなー」
なんてむなしい期待を募らせていたのですが。
ある日。
私は自分の期待とはまったく違うものを発見してしまったのでした。


当時。
サイト名で検索をかけると、たいていの検索エンジンでいちばん上に表示されるのは一応うちだったのですね。
で、それ以降は、うちと相互リンクしてくれるサイトがぼちぼちとひっかかっていました。
ところがその日、私は検索結果2件目に、見慣れないサイトを見つけたのです。
「うちとまったく同じ名前のサイトだ……こんなことってあるのか。うーん、すごい偶然。まるでドッペルゲンガーに出会ったような気分だ。よくみりゃココって、サイトのデザインとか雰囲気もちょっとうちと似てるしなー」
ちょっとばかりフクザツな気持ちになりながら、そのサイトを見て回る私。世の中には自分とそっくりな人間が三人いるっていうけど、自サイトとそっくりなサイトも三箇所あったら面白いよな、なんて思いながら。


そして数十分後、私はそのサイトの管理人さんが自分と同世代の女性で、サイトのメインコンテンツは管理人さんのリストカットオーバードーズの記録、そして赤裸々な性生活などを綴ったポエムなどであることを知り、ちょっとうろたえていました。
というのはですね。
当初、私は自分がサイトを始めたことを、当然家族には秘密にしていました。ところが、サイトの在り処を妹が偶然知り、しかもこれ以上誰にもばらさないでくれという私の懇願を妹は非情にも無視して親にサイトの所在を暴露し、家族全員が時々私のサイトを閲覧しているという状態になっていたのでした。これなんて羞恥プレイですか。
(その教訓をいかして、このブログは最初から家族全員に在り処を教えてしまっています)


もしもある日。
私の家族が出先で、私のサイトを訪問したい気分になり、とりあえずサイト名を検索したりしたら。
そしてうっかり私のサイトではなく、同名サイトのほうを訪問したりしたら……?
「うわあああああああぁぁぁぁぁ、ちょっとまて、家族会議が開かれちゃおうよコレェェェ」
ドッペルゲンガーに出会った人間には死が訪れるってもしかしてこういうことだったのか!?
確かに私の家族がこのそっくりサイトを見つけたら、私のネット上の運命は死を迎えてしまいそうな気がするわな!
とにかく家族に先に説明しなきゃ、ここはうちに似ているけどうちじゃない、名前がかぶったのはピュアな偶然だって言わなきゃ。
慌てふためいた私が電話機に手を伸ばしかけたそのとき。
私はさらに決定的なものを見つけました。
「ひいっ、このサイト、サイト名だけじゃなくて、リンクバナーまでうちと一緒じゃないかあ」
「もう駄目じゃん、誰がどう見てもこのサイトとうちのサイト、同じ管理人がやっているに違いないカンジじゃん……」
「すでに家族がこのサイトを見つけていたらどうしよう。私がどう弁明しても通じなかったらどうしよう……」
「まさかバナーまで一緒なんて偶然にもほどがある……ってアレ? そんな偶然あるわけないよな?」


その瞬間、私はナニカがわかったような気がしました。
実はそのリンクバナーは、私がひと様にお願いして特別に作ってもらったやつでして、GIFアニメになっていて、サイト名の文字が変形してぐるぐる回ったり現れたり、みたいな演出が施されていたのですね。凝った作りだったのもあって、好評なバナーでもあった。
もしかして。
同名サイトの管理人さんは、偶然訪れたシロイのサイトを見て、リンクバナーが気に入ってしまったのではないでしょうか?
「私もサイトを作ろうと思っているし、こういうリンクバナーを使えたらいいなあ」
「でもこういうのって、自分で作れる気がしないなあ……どうしたらいいのかなあ」
「そうだ。まったく同じ名前のサイトを作って、このバナーをそのまま使えばいいんじゃない? ナイスアイディア!」
みたいな流れがあったんじゃないかなーと、私は推測しました。
もうひとつありえる流れがあるとしたら、バナー作成者がまったく同じバナーを別サイトにあげたというものですが、それはさすがにちょっと考えにくいし。


「これってもしかして……パクリ? 私はサイト名とバナーをパクられたのか?」
だとすると。
これは放っておいてよい問題ではないぞ。
サイト名は別にいい。本のタイトルに著作権は発生しないと聞いたことがあるから、たぶんサイト名に関しては真似しても問題にならないんだろう。だからここはスルー。
でもバナーの画像は、あきらかに作成者に権利があるからなー。スルーしていいものじゃないなー。
うーむ。しかしこれは……かなり面倒な……
この堂々たるバナーパクリを思いついて実行に移せる大胆さを持ったひとというのは、正面から抗議して敵に回すようなことになっちゃうと、なかなか厄介なのではないか?
うむうむ。どうしよう。
あ。
そうだ。
いいこと思いついたぞ。……うん、この方法なら、うまくいかなくても問題ないし。
あいつに助けを求めよう。なんせやつは私に借りがあるのだから。よし、そうと決まれば電話だ。
そして私は、妹のシロイ・サイキ(仮名)に電話をかけたのでした。


というところでわりと長文になってしまったことに気づきましたので、次回に続けさせていただきます