今朝起きたら

以前、友人に
「住み慣れているはずの自分の部屋をまっすぐ横切るだけのことが、なぜ無事にこなせないんだ。どうしてあちこちにぶつかりながら歩くんだ」
と聞かれたことがあります。私が知りたいですよその理由。テルミーホワイ。

そんな周囲との衝突を繰り返しながらの人生を送る私は、結果として体のあちこちに傷や痣を作ることがたいへん多く、周囲の方々には
「ちょっ、シロイさん、なんなのその膝」
「おいケイキ、お前なんで背中にそんなに大きい痣があるの？」
「うーわーあー、ずいぶん派手にすりむいたねえ。いつやったのソレ」
と始終聞かれているのですが、残念ながらたいていの場合私はそんなこと覚えちゃいないのです。

「なんでそんな傷作って覚えてないんだ？」
と他人様に真剣に聞かれたことがありますが、たとえば年に一回とか月に一回しか怪我をしないひとなら一つ一つの傷の由来を忘れずに済むんでしょうが、週に一回とか三日に一回怪我する人間はいちいち覚えていられないのですよ。自慢じゃないけど。
「いや、確かに小学生のときは私もそんなだったからわかるけどさあ……大人になってもその感覚で生きているってのはどうなのよちょっと」
とか言われました。ほんと、どうなんでしょう。こんなんだから婚期が遅れるのですか。
傷は男の勲章だけど女の勲章ではないって、そういう理屈ですか。

しかしそんな私も今朝起きて、鏡を覗き込んだときはびびりました。
だって頬に長さ五センチくらいの傷があるんだもの。浅いけど。
これもいつ作ったのか全然わかりません。めったに鏡見ない人間は、こういうとき困るわけです。

「女のひとの顔に傷をつけるなんて酷い！」
とかいう言葉をたまに耳にするわけですけど、私は自分でも知らないうちにずいぶん酷い奴であったようです。ひとはおのれの罪業にしばしば無自覚であると言われますが、私もその例外ではありませんでした。

それにしてもさしあたってこの傷どうしよう。
キスマークができたらファンデーションで隠せばいいとかよく言いますけど、傷跡隠しにファンデ塗りこんでいいもんなんでしょうか。なんか治りが悪くなりそうで不安すぎます。
そもそも傷って盛り上がっているから、ファンデ塗ってもそこだけ盛り上がって何もごまかされない気がするよ？

しょうがないから、この傷が治るまでの間は、逆に傷を目立たせるメイクを施して、何かに生かそうかと思います。
顔に傷があって、それがかっこよくて人気のあるキャラとか、いますもんね。津村斗貴子さんとか。今の私、斗貴子さんにそっくり、とか思ってみたい。
などと思ったのですが、どうしても私の傷と斗貴子さん、位置がぜんぜん違うのです。誰ならいいかなあ、と思いながら脳内検索をかけたら、第一位にヒットしたのは「SAMURAI 7」のゴロベエさんでした。
……いや、好きだけどさ、ゴロベエさん。でも今の私ゴロベエさんにそっくり、とか思ってもあまり嬉しくないのはナゼだろう。