wHite_caKe

だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

ハイブリッド妄想

昨年の今頃、私は祖父を亡くしました。あれからもう一年経つのですねえ……
悲しいとか、生前の祖父のエピソードとか、いくらでも思い出せるわけですけど、そういう湿っぽい話はあまり書きたくないので、別の話をします。


ある夜のことでした。
祖父の葬儀や通夜に出席するためにやってきた親族がシロイ家に泊まることになりました。
部屋数が足りなくなったので、私は妹のベッドの脇に布団を敷いて寝ることになりました。


深夜。
ぐっすり眠っていた私の顔の上に、人間が降ってきました。
そりゃあもう凄い勢いでした。
このひとコーナーポストの上によじのぼってそこからダイブしたんじゃない、と思わせるくらいの勢いです。


殺られる。
なんだかわからんけど、私は今いきなり、生命の危機だ。
この思い切りのよいボディプレスには絶対に殺意が込められている。


そう結論した私は半泣きになりながら
「な、なんなんですかあ」
と叫んで起き上がりました。


すると妹が
「ごめんごめん、トイレ行こう思ってさあ」
と言いながら部屋を出ていきました。


私の口の中には血の味が溢れていました。
妹のボディプレスによって、口が切れてしまったのです。
ティッシュで押さえても押さえても溢れる鮮血に軽くびびりながら私は、トイレから戻ってきた妹に
「血が出てるんだけど」
と訴えました。
妹は
「ごめんごめん、トイレ行きたくてさあ」
とだけ言って、そのまま布団に入り、寝ました。


翌朝、私の使っていたシーツは、私の血でかなり汚れていました。
私がシーツを冷たい水(雪国だから本当に半端じゃなく冷たい)で洗って干していると親戚に
「おねしょ?」
と聞かれました。(もちろん冗談だったわけですが、しかし屈辱だ)


そしてその後数日間。
口の中の傷跡はすっかり良くない方向に進んで、なんだか醜い口内炎が出来てしまったりしたぜ?
私には怒る権利、妹を責める権利があるでしょう。
ですが。
ここで少し、考えを変えてみたらどうなる?


人間の欲望のツボをつつきまくる、パワフルな妄想シチュエーションというものが、この世の中には数多あります。
女神がやってきて一緒に暮らし始める、豹柄ビキニの宇宙人が勝手に惚れてくれる、12人の妹が突然現れ全員お兄ちゃん大好き状態……などなど。
そしてこの手の妄想シチュエーションの中でも二大人気人物像というのはやはり、「妹」と「空から降ってきた人間以外の女の子」なのではないでしょうか。


ということはですよ。
「空から降ってきた人間以外の妹」
というものがいれば、それこそ最高、最強のキャラクターということになるんじゃないでしょうか。ハイブリッド妄想スタイル、ここに極まれり。


そして私は昨年、「妹が上から降ってくる」という経験をしたのですよ。
究極の妄想スタイルにかなり近いでしょう?
うらやましいでしょう?
そんな経験ができるなんて、私って幸せものでしょう?
シーツを水で洗ったり、「おねしょ?」と聞かれたり、口内炎が出来たことなんて、それに比べれば些細なもんでしょう?





……なんて、思えるか、コラァァァァァァッ!

結論

「妹は二次元にありて思うもの」