好きな言葉はなんですか、という問いがたまにありますが、あれに私は毎回
「『棚からぼたもち』です」
と答えています。最近は
「一攫千金」や「濡れ手に粟」もいいなあ、と思うようになりました。
そしてけっこう
「○○さんには足を向けて寝られない」
という言い回しも好きです。
だってこの言い回し使ってる人って、ほぼ100パーセント嘘ついてるんだぜ?
「○○さんには足を向けて寝られないから」
という理由で寝室のレイアウトを変えた人なんて、いるわけない。
旅行先で仲居さんに、
「○○さんはここからだと東南の方向にいるから、そちらに足が向かないように布団を敷いてください」
と頼んでいる人だって見たことない。
この言い回しは、他人に対して敬意と感謝の気持ちを最大限に表現する言い回しなわけじゃないですか。
なのに嘘。言ってる本人、自分の言葉通りにする気持ち、全然ない。
にこやかに微笑んでリスペクトユー! サンクスアロット!! みたいなことを言いながら、実はその言葉は偽りなんだぜ?
マフィアのボスが笑って握手しながら、部下に相手の暗殺を命じるようなものじゃん!
うわあ、どきどきする。これが大人の世界ってやつなのか……
みたいなサスペンスフルな空想に耽る余地を与えてくれるから、この言葉が大好きです。
これからもこの美しい日本語を、全力で守り、そしてしょっちゅう使っていきたいです。