それにしても寝言というのはアレですか、返事をしたらいかんというのは本当ですか? 寝言で喋ってるひとと起きてるひとが会話すると、寝てるほうのひと、すごく疲れるとか、寿命が縮むとか言いますよねー。
いやはや、これは私にとっては大問題まで行かなくても小問題くらいにはなりかねん話ですよ。
なぜならば。
私は寝言を言うとき、必ず近くにいる他人に話しかけているからです。
しかも、返事が貰えるまで話し続けたりする。
返事が貰えないとどんどん声を張り上げてしまう。
これじゃまるで寝言じゃないみたいですが、そうではなく、やはり寝言なんですよ。
話しかけられた人の話によると、呂律が回っていないうえに、文脈もなにもあったものじゃない支離滅裂な発言なので、まったく意味がわからず、返事のしようがないそうです。
そんな私はカーナビと寝言で会話したことがあります。
カーナビって
「300メートル先、右折です」
とか、音声で指示してくれるじゃないですか。
助手席でうとうとしている私がいつものように寝言を口走り始めると、そこにちょうどよいタイミングで、カーナビがいつものように音声指示してくれたんですよ。
そして、珍しく寝言に返事を貰えた私は気を良くして更にカーナビに話しかけ、カーナビが今度
「500メートル先、左方向です」
みたいに相槌をうって寄越し……会話はかなり弾んだらしいです。人類とカーナビの間で交わされた会話としては、かつてないほど弾んだらしいです。
あの数十分で私は一体どれだけ寿命を縮めてしまったのか、考えるだに恐ろしい出来事ですよ、ほんとに。