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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

バトロワ賭博

なんかものすごく今更なネタですけれども、「バトル・ロワイアル」それも第一作のほうについてちょっと話します。
そういえば、バトロワ2は観ていません。なんか一気にB級ぽさが増した気がして、観に行けなかったのです。

バトロワが世間に及ぼす悪影響、特に少年犯罪に影響してるんじゃないかアレ、的な議論に私は参加いたしません。それはもう、世間で散々、やり尽くされていますから。
私は今日、バトロワ賭博についてお話したいのです。

バトル・ロワイアル」の中には、どうも政府のお偉方がプログラムの勝者を当てる賭博をやっているらしい描写が出てきます。
その行為は非常に非人間的でありますけれども、あるとき私は「自分がこの賭博に参加するならば、誰に賭けるだろうか?」ということをちょっと突き詰めて考えてみたのですよ。

プログラムというゲームでは、「やる気」になっている人たち、というのが出てきますけれども、実際には「やる気」になっている人たちの生存率は、けっこう低いんじゃないかと思います。
戦闘してしまえばたとえ勝利しても、負傷する可能性が高い。千草貴子のように。貴子はあの場で光子に殺られなかったとしても、おそらく最後まで生き残れなかったでしょう。(貴子は「やる気」だったわけじゃないんですけどね……)
なるべく戦闘を避け、体力を温存したほうが賢いはずです。なんといってもプログラムは体力勝負なのですから。

ところでプログラムでは「どんな武器が支給されるのか?」というのがかなり勝敗を左右します。
まず、当たり武器というと、銃火器の類が頭に浮かびます。確かに銃は遠距離攻撃が出来るし、殺傷力が高いですから、なかなか良い武器であるとは思います。
ただ、みんな射撃の経験がないから、実際にはあまり遠距離から相手を仕留める、ということはできないでしょう。
そして、近距離戦になってしまう と、一発目で仕留められなかったときが痛い。相手が刃物を片手に飛び込んできたりしたら、けっこうまずいと思うのですよ。それに、弾数の制限があるのが銃の痛いところですね。
そう考えると、桐山和雄のマシンガンはとにかく相手に当てることができる、という点で優れた武器です。ただマシンガンは弾切れが早い。半端じゃない数を撃ち続けていますからね。
まあ小説では桐山のマシンガン、ずっと使われていたわりには、弾がすごい長持ちしてましたけど。
刃物の類は、扱いが難しい気がします。刃物で相手を切り刻むのにはけっこう覚悟というか、度胸というか、とにかくそういうものが必要そう。それに、攻撃範囲が狭い。
そう考えるとバットを持った大木立道くんはけっこう有利だった気もします。攻撃範囲が刃物より広いし、威力もそれなりにある。光子の鎌も悪くないですよね。
というわけで、どんな武器でも一長一短というかんじで、プログラムって確かにゲームとしてはよくできてる。
まあ中にはブーメランとかダーツとかの、あからさまなはずれ武器もありますが。

しかし、私は一番の当たり武器は杉山のドラゴンレーダーだと思うのです。
プログラムではなるべく戦闘を避け、体力を温存したほうが賢い……けれど、ドラゴンレーダー以外の武器は全て、戦うための武器、対戦相手と遭遇したときのためのものなのです。
それに対して、杉山のドラゴンレーダーは唯一、戦闘を避けるのに有効なツールなのですね。
ドラゴンレーダーをうまく使えば、最後の一対一状態になるまで生き残ることが容易にできます。

また、ドラゴンレーダーのおいしい使い方としては、戦闘が終了した地域をひたすら回ることで、死亡した人間が落とした武器を回収できる、というの があると思います。通常なら戦闘が終了した時点で、勝者が敗者の武器を奪っていますから、なかなかそうはうまくいかないでしょうが、やってみる価値はある。相討ちの可能性がありますからね。

もちろんドラゴンレーダーにも欠点はありまして、それは戦闘力のプラスにならない、という点ですよね。ドラゴンレーダー自体はまったく殺傷能力を持たない。
ただ、それはたとえば途中で民家に押し入って包丁や棒やバットを拾うことで、ある程度補うことができます。
最後の一対一状態では、今まで戦闘をかいくぐってきた相手は、ある程度戦力がダウンしている筈。
弾丸は減り、負傷している可能性もある(その一方で対戦相手の武器を回収して、火力が増している可能性もありますが)。疲労もかなりのものでしょう。
ドラゴンレーダーは相手に気付かれぬようひそかに接近するときにも使えます。相手との距離を一気につめ白兵戦で葬り去る、といったこともできるのです。

とはいえ、たとえば最後の一対一状態になったとき、相手がマシンガンと防弾チョッキとその他たくさんの火器をもった桐山で、ドラゴンレーダー所持者は琴弾加代子みたいな一般女子の場合は、いくらひそかに近づいたって、やっぱり勝てないと思うんですよね。

ところが、実際のドラゴンレーダー所持者は杉村弘樹くんでした。中国拳法の使い手で、戦闘力だけなら桐山すら上回る男。おまけに棒術も使えるらしい。
杉村はそのへんにモップの柄がありさえすれば、もうそれでかなりの戦闘力があるのです。
ということは、ドラゴンレーダーの弱点である「最後の一対一状態になったときに戦闘力が弱い」という部分をカバーすることが出来る!
杉村強い、杉村強い。こりゃあもう杉村一点賭けだあああ。

というのが私の結論でした。

なのに何故、杉村は負けたのか?
それはもう、みなさんご存知のとおり、ロマンティックが止まらなかったからです。
せっかくのドラゴンレーダーを女の子探しなどに使ってしまったから。
そのうえ探す相手は二人ですよ、二人。二兎追うものは一兎も得ずっていうのに(用法違い)。
杉村、お前もうちょっと狡猾に生きたほうがいいと思うよ。

杉村弘樹。死因、ロマンティックが止まらなかったこと。
というわけで今年のお盆は、CCBでも聞きながら彼のことを思い出してみるつもりです。