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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

しばらく前から知らないあなた

昨日の話に引き続き、シロイが身近な友人・知人からこつこつ聞き集めたホラー話でございます。
話者の身元等を守るため、一部に事実改変がございますので、ご了承ください。

その二 Yさんの話

「週末の夜で、明日は休みだからって安心して、ダンナと一緒に遅くまでゲームをしてたの。でも途中で私、眠くなっちゃって、寝室に引き上げた。
うとうとし始めた頃に、いつの間にかベッドに並んで寝ていたダンナが私を揺り起こした。
『先に寝るなよー、さみしいじゃないか。少し話をしようよ』
眠っているところを無理やり起こされて、私はちょっと怒っていたから、寝返りを打って無言でダンナに背を向けた。
『こっち向けよ、無視するなよー……無視するなら怖い話をするぞ』


うちのダンナ、怪談がえらく上手いのよ。だからこそ、深夜には聞きたくない。
その日のダンナの話は特によく出来てた。
『深夜にこういう話をすると寄ってくるって言うけど。Yちゃん何か感じる?』
私が背中を向けたまま黙っているのに、ダンナは気にしないで話を続けた。
『感じないよねYちゃんは。そういう風に出来ているから。それはとっても、いいことなんだよ。気づいていいことなんて、一つもないからね……でもぼくは時々、Yちゃんが怖くなるよ。ねえYちゃん、Yちゃんは本当に気づいてないの?』
ダンナが何を言っているのかよくわからなかった私は、自分が怒っていたのも忘れて、聞き返しちゃったの。
『何の話をしてるの?』
『Yちゃんは時々、ぼくのふりをしている誰かと話をしているよね。見るたびにびっくりするよ、ぼくは話しかけていないのに、Yちゃんは誰かに向かって返事をしているんだもの。そういうとき絶対に、Yちゃんはそいつのほうを見ない。あれって、見たらぼくじゃないってわかっちゃうから、顔をそっちに向けないようにしてるんだよね……Yちゃんは、本当に気づいてないのかなあ。気づいていないフリをしているだけじゃないのかなあ?』
寝返りを打って、ダンナのほうを向きたい。もうそんな話はやめて寝ましょう、と言いたい。
でも、出来ない。この体勢を変えてはならない。なぜだかわからないけど、そういう気がする。
背中の後ろでは相変わらず、ダンナが話し続けている。


そのとき突然、玄関で音がしたの。がちゃがちゃと鍵を差し込んで回す音、それからばたんと、扉が閉まる音。
誰かが家に入ってきた! 泥棒だ、と思った私は跳ね起きて玄関に向かった。
『あれ、起こしちゃったね、ごめん。眠れないからちょっと夜食を買ってきたんだ』
そこにいたのはコンビニのビニール袋をぶら下げた、妙に表情の薄いダンナだったの。


それからのダンナ? ……区別がつかないなら、別にどっちでもいいんじゃないかしら」

その三以降は

発掘ホラーコンテンツ、まだちょっとありますので、次回掲載いたします。