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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

ある種の会話テンプレート封じ

私、昔から何十回と無く繰り返して、嫌になってしまった、ある種の会話パターンがあるのです。
「シロイさんてさー、いかにも料理しなさそうだよねー(ニヤニヤ)。絶対しないでしょう」
「絶対しないってことはないすよ。一人暮らしの人間がまともなもんを安く食べたいなら、自炊は良いことですからねい」
「うっそだー。絶対しないよシロイさーん。あのさあ、インスタントラーメンゆでるくらいのことは、料理って言わないんだよ?(またしてもニヤニヤ)」
とのたまう男性が多いのはマジでどうしてなのかしらん? ちなみに女性にこれを言われたことはありません。女性には逆に「料理好きそうだよね」と言われることがあるのですがー。
「いや、インスタントラーメンゆでるときだってありますけど、もうちょい手をかけることもございます」
「ふーん。じゃあさ、最近なんか作った? ナニ作った? 答えられないでしょ! ねえねえ!!」
「昨日の夕食は豚汁と挽肉と豆腐のレンジ蒸し作りましたが」
「ええっ、ほんとに料理するんだ? へー、へー、そうなんだシロイさん、料理するんだぁ(なぜかここで目がキラキラしはじめる)。なんか、見直しちゃったよ。よし、おれにも作ってよ、遊びに行くからさあ、今度の日曜とかどう!?」
あーあーあー。
なんだろこれ、再現して書いてるだけでサブイボ立つあるよ。
何の根拠もナシに他人が料理できないと決めつけるのは何故だ?
見直したってなんだ? この手のことを聞いてくる男性で、自分も料理するってやつは、居たコトないぞ。自分が料理しないのに、他人が料理しないと見下してもいいっていうその論理のワンダーな展開がわからねえ。
しかも、私が君のために休日をつぶしてメシ作るのか? さっきまで自分をバカにする気満々のニヤニヤ笑いを浮かべていた人間のためにい?
ふはは。そういうこというのはどの口なんだ一体?
てな具合に毎回この手の会話を交わすたびに苛々していた私はほんとに大人げないことこの上ないですが、数年前からこの手の会話をばしっと短時間で終わらせる方法を発見しました。


「シロイさんが料理するなんて嘘だあ、じゃあナニが作れるのさ? 得意料理とか、ちゃんとあるわけ?」
「得意料理というか……一番よく作るのはベーコンですね」
「えっ……ベ? ベーコン? うそ、あれって自分で作れるもんなの!?」
「作れますよ、要するに、豚肉を塩漬けしたあと、塩抜きして乾燥させて、薫製するだけなんですから。ちょっとした薫製なら、スモーカーなんかなくても、フライパンで出来るんです。私はここ数年、ベーコン買ってないです。多いときは二週に一回ペースで作ります」
「へ、へえ……そうなんだあ……ベーコンか……ベーコンねえ……ふうん……ベーコン
会話終了。小さな労力で大きな効果が得られるって、とてもすっきりしますね。
相手を目の前から早々に退散させたいときは、更にここで細かくベーコン作りのノウハウについて異常な熱意を込めて語れば、更によろしい。


なんでか知りませんが「ベーコン」という単語を使うだけで、彼らは私が料理をする人間だということを一切疑わなくなりますし、遊びに行くから作ってくれ、とかいう申し出をすることもなくなります。名付けてベーコン封じ。
他の手法としては、ラーメン封じ、ローストビーフ封じ、生ハム封じなどがあります。
鶏ガラと豚骨でラーメンのスープを三日かけて仕込み、チャーシューは5時間、味付き卵は48時間かけて作るのだけどやはりプロには及ばないという苦労話、岩塩で覆ったローストビーフを作るために良い塩を求めてあちこちのデパ地下を駆け回ったエピソード、生ハム作りのために冷蔵庫で二週間肉を乾燥させることの難しさ、などを語ってさしあげると、彼らは突然無口になります。
そして二度と、料理にまつわる会話でこちらを煩わせることがなくなります。不思議ね。
んー、ほんとはまあ、なんで彼らがそうなのかってコトに関しては、自分の中では予想がついてますけど、それは今回置いときますわ。


てなわけで、世の中には私と同様、料理にまつわる会話で似たような展開を経験して果てしなくうんざりしている方が、それなりに大勢いらっしゃると思いますので、その手の方々には、ぜひ「ベーコン封じ」を試していただきたいと思います。効果は絶大ですよ。


んでまあ、一応。
「でもあたし、べーコン作ったことナイからそんなこと言ったら嘘になっちゃう」
と気にする誠実な方のために、ベーコンの簡単レシピを載せておきますね。一回でも作れば、嘘じゃなくなりますから。
自家製ベーコンは、本当に美味しいですよ。市販のベーコンを自家製ベーコンにかえるだけで、いつものメニューがランクアップした美味しさになりまっせ。

自家製ベーコンのいい加減な作り方

これはかなり簡単でいい加減な手抜きの作り方です。
ネットにはもっとちゃんとした作り方がたくさん転がっていますので、本格的ベーコンをお求めの方は、そういうのを頼りにしたほうがよいかも。

  1. 豚のかたまり肉を購入。余分な脂を切り落とす(面倒ならやらなくてよい)。
  2. タッパーにうんと濃い塩水を作り、その中にかたまり肉を入れて、冷蔵庫で寝かす。期間は3日から一週間ほど。余裕のある日に冷蔵庫から肉を取り出せばよいので、そのへんはアバウトに。あまり長くやりすぎると豚肉が腐るから気をつけましょう。
  3. タッパーの塩水を捨て、綺麗な水でいっぱいにしたあと、水道からちょろちょろ水を流して(その際直接水が豚肉にあたらないようにする)、豚肉を塩抜きする。1〜4時間ほど。2時間くらいやれば大体ちょうどいい。途中で豚肉を薄くスライスして、フライパンで焼いて味見をして、「ちょっと塩味薄い?」と思ったときが、ちょうどいい。
  4. キッチンペーパーで豚肉をくるんで冷蔵庫に入れ、一日放置して、乾燥させる。
  5. 一日たったら、フライパンに薫製用チップ(アウトドアグッズ売り場でちゃんと売ってます)を敷き詰める。金属製の足つき網を用意して、その上に肉を載せ、フライパンに蓋をして、一番細い弱火で1〜4時間放置。その際、豚肉からしたたった脂でチップが濡れると、味に悪影響を及ぼすので、そういうことが起こらないように各自工夫をこらすこと。ちなみに、チップの代わりに古くなった紅茶の茶葉などを使うこともできる。
  6. 完成。できてすぐより一日経ってから食べるくらいが美味しいです。一週間以内くらいで食べきりましょうね。