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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

本当はすっきりできるグリム童話

これがみなさんにも賛同していただける意見なのか、私にはちょっと自信がないのですが。
赤ずきんちゃん」と「狼と七匹のこやぎ」の作者は、女性であると、私は半ば確信しております。
少なくとも、

おおかみのおなかを じょきじょきと きりひらいて なかに おおきないしをつめ、そのあとを ぬいあわせました。

という残酷きわまりないくだりを考案したのは、きっと女性だ。間違いない。


どうして私がこんなことを考えているかと言うと、毎回生理というあのニクいあんちくしょうがやってくるたびに、「おなかのなかにいしをつめました」という文章を繰り返し思い出すからです。


男性にはあの感覚がわかって貰えない気がしますが(あと生理軽い女性にもわからないか)、私は毎回生理になると、お腹の中に突然小ぶりな漬物石が出現したような気がするんですよ。
その小ぶりな漬物石は、しかもその中心からじわじわと、確実に強烈な痛み物質を放射しているんですよ。
その痛みといったら、酷いときにはまともに歩けなくなり、トイレにうずくまったまま30分以上七転八倒しちゃうくらいのやつですよ(まあそこまで酷いやつは滅多にないけど)。*1


私はね、昔から痛みに強いタチだと、他人によく言われてきました。
ピアスの穴をあけてくれたひとは
「この痛みに身じろぎひとつしなかったのはシロイさんが初めてだよ」
と評し、以前通っていた整体の先生は
「痛みを我慢しないでください……というか、あなたはほんとに痛みを感じないんだね」
と呟きました。
その痛みに強いはずの私が。
あの小ぶりな漬物石のせいで七転八倒、脂汗だらだらですよ、まったく。


もちろんそんな「生理のたびごとに体内に発生する小ぶりな漬物石(痛み物質つき)」は実在しないので、あくまでイメージの話ではあるんですが。
他の女性はいざ知らず、私にとって生理というのは「あの漬物石がまたやってきた」という感覚であるのです。
最近じゃホームセンターなんかで漬物石が売っているコーナーがあると立ち止まって
「あたしの体内のアレはこのくらいの大きさだろうか」
みたいなことを考え出しちゃう始末。どのくらいもなにも、そんなものないというのに。
そして、こういう経験を通して、私は
「体内に大きな石がごろんとあったら、そりゃあ苦しくて体調悪くて、ふらふらして井戸に落ちたりするよな…… 狼、あたしあんたの気持ちがわかるよ」
と思うようになり、
「あのくだりを作ったのは、絶対に私と似た感覚を持つ女性に違いない」
と確信するにいたるわけです。


私の母が学生時代、親しくつきあっていたある友人は
「生理通が酷くて痛み止めにモルヒネを使っていたのだが、それすらも効かなくなり、絶望して自殺した」
らしいのですが、私は自殺しなくてもいいんじゃないかな、と思いつつ、彼女の気持ちはすごくよく判りました。
モルヒネで抑えなければやってられないような強烈な痛みが、毎月一回、数日間、確実に自分をこの先数十年に渡って苛み続けるのだ、と考えれば、そりゃあすさまじく絶望して、死にたくもなるよ。
仮に彼女が体内に転がる石のイメージを抱いていたとしたら、それは巨大でかくばった、おそろしい岩石であったに違いありません。


ところで、男性にはもちろん生理来ないので、あれがどのくらいの不快感と痛みを伴うものなのか、体験することはできないわけです。
昔、私の友人があんまりタチのよろしくない男性とお付き合いして、色々あってすぐに破局したんですが、私が彼女の話を聞いていて、目もくらむような怒りを覚えたのは、
「生理? だったら薬のんでりゃいいだろ。うっとうしい」
というその男の台詞でした。
生理で寝込んでいた彼女の部屋に突然やってきた彼は、彼女がナゼ寝込んでいるのかを聞いて、そう言ったそうなんですよ。
いやもう彼はほら、なんていうかY染色体の持ち主で、生理知らないからしょうがないのかもしれないですけどね。だけど私は絶対にその男性に生涯二度と0.0001グラムの好意だって抱かないでしょうね。
えーい、そういう男性はみな、一度でいいから極めつけの生理痛を味わってみればよいのです。
そんでモルヒネすら効かないことに絶望させられればいい。


さて、童話の中の「おおかみ」というのが男性を象徴している、というのは有名な話です。
「あかずきんちゃん」も原話に近いものだと、おばあさんになりすました狼が、あかずきんちゃんに服を脱いで裸になるよう指図するシーンが出てきます。もうあのお話が本当は何を言わんとしているのか、そのものずばり、というかんじ。


また、「あかずきんちゃん」のお話は、もとのままだと、赤ずきんちゃんがただ狼に食べられちゃって終わりなんですよねえ。
そのままだとあまりにも救いがないので、後の世の人々が後半部、つまり赤ずきんちゃんとおばあさんが狩人に助け出されて、狼が石を詰められて死ぬシーンを付け加えたのだ、というのもけっこう有名な話です。


ということはですよ。私はここで思うのです。
「えーい畜生、男も一度生理になってみればあれがどんだけ辛いか思い知るだろうに」
みたいなことを思った女性が絶対昔のヨーロッパにもいたはずです。


そしてね、そういう女性が、ただ狼に食い殺される赤ずきんちゃんを救おうとと思ったとき、男性の象徴である狼の腹に特大の石(=きわめつけの生理の苦痛)を詰め込ませてやったんじゃないのかなって。
赤ずきんちゃんは、その女性が自分自身を投影した存在だったんじゃないのかなって。


生理になるたびに、私の脳裏にはそういう妄想が駆け巡ってしまうのですよ。

追記

本当にめちゃめちゃ生理痛が酷いひとは、ただの体質と割り切らずに、子宮内膜症の可能性があるので、婦人科に行くのが吉です。
私の場合は、婦人科に行って「子宮内膜症ではない」と言われましたが。だからまあ、子宮内膜症のひとは、私のいちばん酷いときよりヒドイのかもね、と考えると、本当に気の毒でなりません。


モルヒネが効かなくなったひとは、子宮内膜症だったのですかねえ……?
ただ、彼女自身はモルヒネ使っているくらいですから、病院にも当然行った筈で、それでも問題が解決しなかったのだから、恐ろしいです。

*1:でもそういえば私、生理休暇とったことないなあ……とれないんだよなナゼカ。生理痛が酷すぎて、デスクの脇で腹を抱えて脂汗を流していたら、見かねた上司に早退を命じられてしまったことならあります。