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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

地球上の誰かが、ふと思った

恋人選びは『好意』ではなく『セックス』で決まる。ゆえにすべての恋愛論は、『愛情論』ではなく『欲望論』である。

という記事の中でMasaoさんは、

異性の好意を受け入れるということは、その異性とセックスする可能性が高まるということです。これは女性にとって、「妊娠させられる可能性が高まること」とイコールなのです。

ゆえに女性は、男性の好意に対して簡単に好意を返すわけにはいかない。慎重に「好意を返して構わない男性」 を選別する必要がある。これは恐らく生物学的に女性の本能に組み込まれている機能で、「嫌いな男」からの恋愛的アプローチに対し、女性はそれこそ心の底か ら生理的嫌悪感が沸いてくるのです。

とおっしゃいました。


そして私は「へー……リスクって妊娠だけかよ? そんでそれゆえの生物学的本能による恐怖? なんだか平和な発想」と思いました。


ええとですねえ。
私が嫌いな男からの恋愛アプローチを嫌悪する最大の理由は、
「レイプされるかもしれない」
と思うからですよ。


恋愛アプローチを相手が掛けてくるままにしていれば、いずれ向こうは「二人っきり」になることを求めてくるじゃありませんか。
そんでそれにほいほい応じれば、もしかしたらレイプされるかもしれないじゃないですか。
酷いときはそのまま殺されるかもしれないじゃないですか。


あー、もちろんもちろん、この考え方は極端ですよ。
偏ってますよ。
そんなこと考える女はごく一部でしょうよ。
だけどさあ、すべての女性にとって、男性を相手にしたときの最大のリスクってそれだと思いますよ。
男性はそういうこと考えないモノなんですか?
そういうことを考えない女性もいて、考える男性もいるのかな?


私は男性と二人きりになるシチュエーションでは、なんらかの保険がなければ、落ち着きません。
必ず街中で行動し、密室に入ることはないとか。
相手の男性が、自分にとって本当に心底信頼できる相手であるとか。
そしてなんというか、「この男性は私に魅力を感じていない、恋愛感情を抱いていない」ということが判ると、その男性に対する信頼は増すんですよ、私の場合。


この間『インサイド・マン』という映画を見て、これが非常に面白くて洒落た映画だったので、見てない人はこぞって映画館に集うといいかと思いますが、とりあえずその中には、こんな台詞がありました。
「生まれつきの人殺しなんてごくわずかだ。みんな追いつめられて殺人者に変えられるんだ」
みたいな台詞。うろ覚えなので正確ではないですがー。


レンアイ中とレンアイしていないときだと、まるで人が変わったようになるひとっていますよね。
恋愛なんて馬鹿みたい、とさめた顔で呟くひとが世の中にはいたりしますが、実際馬鹿みたいな部分は多いです。


恋愛感情は人間を変え得る。
恋愛感情は感情の振り幅を簡単に増大させる。
激しい喜び、激しい楽しさ、激しい悲しみと……おそらくは激しい怒りも?
そしてそう、愛と憎悪は、同じコインの表と裏。


恋愛感情を抱いている人間というのは、ある意味で追いつめられているのではないのか?
少なくとも追いつめられやすくなっているのではないか?
もしかしたらこのひとはこれから、いつもなら絶対にしないことを、激情ゆえに行うかもしれない?


私にとって大抵の男性は、自分より確実に腕力の勝る人間です。
私は女性の中では身体の大きいほうで、力も強いほうですが、それでもやはり、その力というのは、女の力でしかないのです。
「自分より確実に力の勝る人間」と二人っきりで行動して、しかも向こうはこちらに恋愛感情を抱いているらしい……というシチュエーションには、わかりやすくリスクが含まれていると思いますよ。


私は以前の彼氏を、本当に心の底から、誰よりも信じていました。
それでも何かの拍子に、「ああ……このひとは私よりもずっと力が強いんだ」と気付くたびに心の奥を、つめたい何かが横切りました。
自分よりずっと力が強くて、しかも激情を私に向けてくる可能性の高い人間と一緒に暮らしている自分はなんて無謀なのだろうと、男性と二人きりで暮らす世界中の女性たちはなんて勇敢なんだろうと、そんなことを思いました。


「ねえ、もしも私を殺すようなことがあったらさあ、ちゃんと逃げ切ってよ。死体を隠して、素知らぬふりして、今までの生活、きちんと続けてよ。自首して刑務所入ったりしないでね。君は丈夫じゃないんだから、刑務所の生活に耐えられると思えない」
私が唐突にそんなことを言い出すと、彼はびっくりしたような顔でこちらを見て、呆れたように答えたものです。
「また連続殺人の話かなんか読んだからそういうワケのわかんないことを言い出したのか……まったく。なんでぼくがケイキを殺すわけ。絶対そんなことしないし、そういうことになったらもう今まで通りに暮らすのはどうせ無理だよ。だから自首する」


私はこのひとを選んだのだ。
この人にならば殺されてもいいってわけじゃない。もちろん嫌だ。
でも、このひとに殺されるのは他の誰かに殺されるよりはほんの少しマシな気がするし、こんなに優しいこのひとが私を殺すときがくるとすれば、きっと私にも相応の落ち度があるんだろうから、仕方ないって思える気がする。
そう思えるたった一人のひとだったから、このひとを選んだのだ。*1


私は自分が彼に比べて腕力に劣る人間であることに気付くたびに、自分にそう言い聞かせました。


以前、聞いたことのある話。
有夫の女性が殺されたとき、その犯人の八割は、配偶者なのだそうです。


When a man loves a woman.......
そこにはわかりやすくリスクが含まれているのだと、私は考えます。


だから選びたくないひと、嫌いなひとに愛されるのは、とても怖いし、嫌なことなんです。

*1:そんで結局ふられたけどな!