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だらだら書きますので、だらだら読んでもらえるとありがたく。

地上最強を追い求めて

人類最強とはいかなる存在であるのかということについて、思い悩んだことがありました。
小学五年生くらいのときのことです。大体こんなようなことを思いました。

人類最強とはいかなる存在であるのか?
野生の世界において、人間などというのは牙も爪も持たぬ脆弱な生き物でしかない。
いかに鍛え抜かれたつわものであるといえども、獅子や虎、羆などに勝てる人間は皆無であろう。
肉体を鍛え、技を磨き、それでもなお猛獣たちが生まれながら持つ力に勝てぬのが我ら人間。
どれほどのつわものであっても、この地上においては弱者に過ぎぬのが人間。
文明を持たずには地上を制することの出来ぬ存在、それが我らのさだめであるというのか。
力の道を捨て、知によって進化の道を歩むことを選んだのが我ら人類である以上、それは覆しようのない事柄なのかもしれぬ。
人類最強は地上最強ではない。
そのことのなんという悲しさよ。なんという虚しさよ。


仮に、我ら人類の誇る数多のつわものどもを選び抜き、彼らを餓えた獣たちの支配する、たとえばアフリカのサバンナのど真ん中に丸腰で放り出したとしよう。
彼らのうちの誰一人として、生きて帰ることはできまい。
獣たちとの戦いを経て生き抜くことのできる戦士などいないのだ……いや違う。
思い出したぞ。
あの男がいるではないか。
あの男ならば、おそらく。確実とは言えぬが、それでもきっとあの男であれば、そのような苛酷な状況下からも、生還してくれるやもしれぬ。
おお……私には見える。かのひとが金色の獅子にまたがり、悠々とサバンナを往くそのさまが。
それでは彼が、彼こそが、人類最強、いや地上最強の名にふさわしい男だというのかっ……!


そう。
このとき私の脳裏に去来していたのは、あの方のお名前でした。
動物王国の主、作家の畑正憲氏です。ムツゴロウさんという愛称のほうが有名でしょうか。


私には見えました。
「おーよしよしよし」といつものようにこぼれんばかりの笑顔でライオンにじゃれつき、指などを噛み切られながらもそのことを一切意に介さず、最後にはサバンナ中の動物たちを従えんばかりの勢いで人里に戻ってくる畑正憲氏の姿が。

あの日から、私は畑正憲先生を、一心に尊敬しております。